“てんちょ先生”のひとりごと

現職教員が伝える、現場のあれこれ!

😤じゃあ「教育」って何? ~病気休職その3️⃣

さて、だいぶ前に「3度目の病気休職となりました」ということはご報告したのですが、その詳しいところはまだお話ししていませんでしたね。
ようやく気持ちの整理も多少ですができてきたので、お話ししていきますね。

子どもが忘れ物をしたーーー
そんな時、どうしますか?

もちろん「注意する」というのは一番多い答えかと知れませんが、もっと聞きたいのは“忘れたものを貸すか・貸さないか”です。
私は(良いか悪いかはちょっと置いておいて)貸さない、というスタンスをとっています。理由はといえば、「忘れ物をして困ることも大事」それと「貸したら(貸しても)また忘れるんじゃないか」という思い。どちらにも賛成・反対はあると思いますし、正解はないのかもしれませんね。

さて、担任していたクラスの子どもに、いつも「消しゴムがない」「ハサミがない」と言って、なかなか持ち物が揃わない子がいました。図工の材料などは特別な持ち物なので忘れてしまう子のことも考えて余分に準備しておくこともあります。
ところが日常的に使う消しゴムやらハサミやらを毎度貸すわけにはいかず、「明日はちゃんと持ってくるんだよ」と言い、必要に応じて連絡帳で保護者にも伝えます(この時点で親が気付いて用意してくれれば済む話なのですが)。
この子が算数の「円」の学習の時になかなかコンパスを持ってきませんでした。円の学習でコンパスは必須ですよね。ところが待てど暮らせど持ってこない。さすがにテストの時には貸さないと問題が解けないわけですから貸しました。
今思えば、授業の時から貸していないといけなかったのかな、とも思います。

ある朝、この子の保護者から電話が。
「うちの子の算数のテスト、見たよね?」
いきなりのタメ語。担任だから見るどころか採点したのも私です。
「10点ですよ!どんな授業してたんですか?」
「………」ここですでに、私の思考は停止しました。
うつ病の治療中であることもあり、突然の出来事やあまりの剣幕に遭遇するとストップしてしまうのです。
「それとうちの子、コンパス持っていってないよね?」
“知っているなら持たせてよ、お母さん”
「なんで貸してくれなかったんだよ?」
「テストの時も貸してくれなかったんだよね?」

“いえ、テストの時だけはさすがに貸しました”
その言葉が口から出てこない。フリーズ。
「なんで黙ってるんだよ!」
「担任替わってよ!」
「話のわかる人に電話替わって!」

なおも(いや、なおさら)フリーズ。
言われるがままに管理職に頼んで電話を替わってもらいました。

これだけでも私の気持ちが相当落ちたのは想像していただけるかと思います。
でも、このこと“だけ”で仕事を休もうと思ったのではありません。
この日の放課後。校長室に呼ばれました。
相手が電話でどんなことを訴えてきたのか、話されました。「反省文を書かせろ」とも言ったそうです。
そのあとの校長の言葉・考え方に衝撃を受けました。
「まずは“貸してあげなさい”」
でも、私は根拠をもって貸さないスタンスで…
「そういう子は、今困らなくても、大人になって困るからいいんだよ」
“!!?”
それから「謝罪の手紙を書くように」とも。
校長は決して口にはしませんでしたが、本音は“この親とトラブルを起こすな・トラブルを広げるな”という気持ちだったのでしょう。

コンパスも貸す・反省文も書く。
これでは向こうの言いなりではないですか。
自分を正当化するつもりではありませんが、相手方にも考えてもらう必要があるのではないでしょうか?また、担任からは無理でも校長として保護者に伝えられることがあったのではないでしょうか?
たとえば「お母さん、担任にも指導しておきますが、“ぜひ持ち物をお子さんと一緒に確認してくださいね”」とか。
では、忘れ物をした子どもに対しての“教育”“しつけ”はどうすればよいのでしょうか?

結局、校長はこのトラブルから一歩退いたところにしかいなかったのです。
話しは少しずれるかもしれませんが、初任校の校長先生の口癖は「何かあったら俺に替われ。俺が前に出て戦うから」でした。
この日、初任校の校長先生を思い出したのは無理からぬことだったのはご理解いただけるでしょう。

とんでもない保護者対応、そしてそれにまつわる管理職の考え・指示に愕然としたのです。
この3日後、私は休職を懇願したのでした。

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